人文学部で臨床心理学研究を~横山仁史先生にインタビュー!~

社会文化学プログラム2年の佐藤です。今回は「日本うつ病学会2023年下田光造賞」を受賞された横山仁史先生にインタビューをしてきました。

横山先生は臨床心理学、認知行動療法を専門分野とし、うつ病の研究に尽力されています。今回のインタビューで人文学部の研究分野の幅広さを改めて感じました。

  • 日時:2024年2月13日(火)10時~11時
  • 場所:総合教育研究棟F487
  • インタビュアー:渡邉拓生(4年)佐藤真実子(2年)
  • インタビュイー:横山仁史先生(人文学部人文学科 助教)
  • 記事制作:佐藤真実子

受賞された感想

渡邉、佐藤:まずは、受賞おめでとうございます。今回横山先生が受賞された賞はどのような賞なのですか?

横山先生:今回の賞は日本うつ病学会が授与しているもので、1年間に国内外で発行されたうつ病研究が対象になっています。

渡邉:受賞された感想をお聞きしたいです。

横山先生:率直に言ってうれしいです。私が初めて所属したのがうつ病学会で、研究者としてスタートした場所で評価されたことがうれしいです。あとは、たくさんの人が駆け回ってデータを集めてくれたのでチームの皆に恩返しができてよかったです。

▲写真:横山先生

研究内容

渡邉:それでは横山先生の研究内容を教えてください。

横山先生:私は臨床心理学を専門にうつ病の研究をしています。今回の研究は健常者の鬱っぽさとうつ病の鬱っぽさには連続性があるのかを調べました。まず、診断がつく人とそうでない人、重症かあるいは症状がほとんどないかといういくつかのうつ病状態を定義して、それらの間にどのようなうつ病症状のネットワーク構造の特徴がみられるか調べてみました。

渡邉:先生が今回受賞された研究内容からどのような成果が得られましたか?

横山先生:うつ病が治った人は、重症度でみると健常者と同じレベルまで改善していました。ですが、現在もうつ症状を抱えている患者さんたちと同じようなネットワーク構造が残されていることがわかりました。

佐藤:つまり、完治しているはずなのに、うつ病を発症している時と同じような心の状態ということですか?

横山先生:いえ、少し違いますね。このことはうつ病の症状が消えた後もうつ病の痕跡が残っていることを示しています。うつ病はとても再発しやすいことが知られていますが、この痕跡によって色々な症状が同時に生じやすくなっている可能性があるといえます。

ターニングポイント

佐藤:横山先生が現在の研究をするようになったきっかけ、ターニングポイントはありましたか?

横山先生:それは大学時代、ゼミでの先生との出会いでした。産業組織カウンセリングゼミの説明会に行ったら、なんとうつ病の認知行動療法を専門にしている先生がいました!その先生の「心理士の言葉は外科医のメスだと思え」という言葉に感銘を受け、私も先生みたいな熱い人になりたいと思いました。

新潟大学について

渡邉:横山先生は2023年から新大に来られましたが、新大を選ばれた理由は何かあるのですか?

横山先生:率直にタイミングが合ったことと、教育学部の心理学の先生とも学会等でお会いする機会があったので一緒に働きたいと思ったからかな。あとは新潟大学脳研究所があるのも決め手の一つでしたね。

渡邉:そうなんですね。ちなみに新潟大学の印象はどうですか?

横山先生:学生たちはみんな真面目に勉強しているイメージがありますね。私は早稲田の人間科学部で学生時代を過ごしたので、新大のように学部の多い総合キャンパスは新鮮ですね。

今後の目標

佐藤:この先、新大でやってみたいことはありますか?

横山先生:臨床心理学に興味を持ってもらえるように活動したいですね。人文学部でもこういうことができるということを広めていきたい。あとは学生とのかかわりが今のところ少ないので、その機会を増やしたいですね。心理士にならなくても、臨床心理学に理解を示してもらえたら、生きやすくなる人も増えると思います。だから一緒に勉強出来たら誰かの助けになるかもしれない。興味がある方は私の研究室(総合教育研究棟F478)にぜひいらしてください。あとは学生さんのイベントも誘ってくれたらうれしいです!

渡邉:では最後に学生へのメッセージをお願いします。

横山先生:私の場合、予期せぬいい出会いがあって今の道につながりました。学生の皆さんには興味を絞り切らずにいろいろなことにチャレンジしてほしいですね。これから私自身も臨床、脳といった違う分野の研究の準備を進めていきたい。その中で、学生さんとも一緒に勉強出来たらうれしいです。

渡邉、佐藤:今日は本当にありがとうございました!

今回インタビューさせていただいて、横山先生の「将来的に支援する人にならなくても、臨床心理士、臨床心理学に興味を示してもらえたら苦しんでいる人の助けになる」という言葉がすごく印象に残りました。興味のある方は、「人文系フロンティア」「心理・人間学入門」「心理学実験」の授業をぜひ履修してください!ちなみに「人文系フロンティア」は1年次に履修できますよ~!

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