「日常生活にありふれていることが心理学の対象になり得る」~小林恵先生にインタビュー!~

1年の上村です。「新任教員インタビュー」として、心理学を専門にする小林恵先生にお話を伺いました。  

1年生ながら、研究室を覗かせて頂いたり、先生から直接お話を伺ったりと、貴重な体験をすることができました。「心理学の実験テーマは、日常生活のいたるところに散りばめられている」という言葉が印象に残りました。皆さんも、普段の生活の中でふと疑問に思ったことについて、心理学とのつながりを考えてみると新しい発見があるかもしれません。

また、心理学やその他の多くの分野では、英語で書かれている過去の文献が多数を占めているということでした。過去の研究を知り、自分に生かすためにも、英語をしっかりと学んでおく必要性があると感じました。

  • 日時:2022 年 7 月 13 日(水)16:30~17:00
  • 場所:総合教育研究棟 F486
  • インタビュアー:上村美緒(1年)
  • インタビュイー:小林恵先生(心理・人間学プログラム准教授)
  • 記事制作:上村美緒、後藤結、竹井誉桜、渡辺健人

小林先生の研究内容について

学生 : まず初めに、先生の研究内容について詳しく教えてください。

小林先生 : 発達心理学や、知覚心理学を専門としています。ざっくり言うと、知覚(例えば視覚)が、赤ちゃんのうちのどのくらいの月齢で発達するのか、大人とどのように違うのか、どのあたりが同じなのかというようなことを実験的な方法を使って調べています。

学生 : 実験というのは、赤ちゃんから大人まで、あらゆる世代を対象にしているのですか?

小林先生 : そうです。新潟大学に着任する前は生後 1 歳未満を主に対象として研究していて、それに加えて、共同研究という形で小学生くらいの発達障害をお持ちのお子さんを対象として知覚発達の研究をしていました。新潟大学に着任してからは、赤ちゃんに限らず成人まで幅広く対象として実験をすることで、赤ちゃんの時期だけでなくその後の発達に関しても、成人とどのように機能が違うのかということも研究していきたいと思っています。

▲写真左:小林先生の研究室の様子。赤ちゃんの認識や、好みについて研究されている。
右の写真は、実験のためのブース。赤ちゃんの視線を確認できるようになっている。


▲写真:小林先生

小林先生のご来歴について

学生 : 先生のご来歴について教えてください。

小林先生 : 出身は東京都の江戸川区で、東京ディズニーランドから自転車で 30 分くらいのところです。両親も関東地方の出身なので、幼少期はずっと東京にいました。中学校、高校、大学、大学院もずっと東京の学校に通っていました。博士号を取得したのは東京の中央大学というところです。

その後研究員として過ごしていく中で、アメリカのテキサス大学ダラス校というところに四ヶ月ほど短期留学をし、愛知県にある生理学研究所というところや、愛知県医療療育総合センターの発達障害研究所というところで研究員として在籍して、今年新潟大学に着任しました。

担当授業について

学生 : 新潟大学で今年度先生が担当されている授業についてお聞かせください。

小林先生 : 他の先生と一緒に持っている授業としては、「心理学実験」、「心理学基礎演習」
があります。

「心理学実験」は、心理学的に有名な実験を学生に行ってもらい、実験レポートの書き方、実験的な思考方法を体験してもらう授業です。

「心理学基礎演習」は、英語で書かれた心理学の教科書の中から、教員で抜粋した章を学生に読んでもらう授業です。学生には二人一組でペアになってもらい、ペアで一章ずつ担当し、発表資料を作り発表してもらいます。発表担当以外の学生には発表を聞いて疑問点を質問として提出してもらい、発表者には次の週に質問の回答をしてもらうという授業です。

「心理学基礎演習」は、心理学の英語に触れ、心理学の基礎知識を英語で学ぶ授業になります。

他に担当している授業としては、「発展演習」、「特殊実験」、「卒業論文」があります。

「発展演習」は、3・4年生合同のゼミの授業で、グループごとに英語の論文を読み、発表してもらっています。

「特殊実験」は、3年生のみのゼミのようなもので、3年生の終わりに作成するプレ卒論や、4年生の卒論でどのようなテーマで行うかを決めてもらうために、各自が興味を持っている分野の論文を探して、一人ずつ発表してもらう授業です。

また、9月以降担当する予定の授業としては、「発達心理学」の授業があります。

学生 : 心理学を学ぶにおいて、英語力が大事とされるのでしょうか?

小林先生 : 過去の研究事例では英語の論文が大多数であるため、世界の論文や、最先端の研究を知るためには、英語で文献を探し、英語の論文を読めることが重要になります。日本語で書かれた論文ももちろんありますが、英語で書かれたものに比べると極めて少ないです。

先生の学生時代について

学生 : 先生の学生時代について教えてください。

小林先生 : 大学生の時は、勉学については、単位を落とさない程度に努力をし、アルバイトやサークルに主に力を注いでいました。サークルは、テニスサークルに所属しており、1・2年次には、授業終わりにサークルの練習をし、サークルがない時にはアルバイトをしていました。3年次後半からは大学院への進学を考え、当時はサークルも引退していたため、アルバイトや大学院入試の勉強をしていました。

心理学を目指す学生にひとこと

学生 : 最後に、心理学を目指す学生にひとことお願いします。

小林先生 : 心理学の面白いところは人それぞれですが、私たちが普段何となく見たり聞いたりしている事象をデータとして扱い、目に見える形になるのが心理学の面白さの一つだと思います。

日常生活にありふれていることが心理学の対象になり得るため、物を見てどう感じるか、解釈するか、声を聴いてどのような印象を抱くかなどもすべて心理学の研究対象となります。

そこで、心理学を志すなら、何気ない事象の中にもさまざまな不思議なことが詰まっている、ということを意識しながら、そういった視点で自分の日常生活を見てみると、おもしろいと思います。また、ふと不思議に思ったことを大切にしてほしいと思います。

学生 : 本日はありがとうございました。

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