出会った人たちとコミュニティーに感謝~2024年卒業生 はるさん

英語学の島守です。今回は、2024年3月に卒業された、はるさんにインタビューをしました。在学時の学びや思い出から現在の生活まで、幅広くお話を伺いました。在学時は、目の前のことに必死だったようですが、卒業して社会の中で生きていくことを通して、新潟大学や人文学部の存在を再認識している様子でした。

実は、はるさんと島守は、このインタビューを通して知り合いました。というのも、夏休みのある日に(英米の)研究室に遊びに来てくれました。その時に、ダメもとで依頼したところ、快諾いただきまして、翌日に実施しました。とても楽しい雰囲気でお話しすることができました。

はじめに

島守:では、よろしくお願いいたします。はるさんは、この間の3月に卒業されましたが、専攻分野は?

はる:日本中世史です。指導教員は片桐昭彦先生です。

島守:サークルや部活は行っていましたか?

はる:やっていました。4年の卒業まで続けたサークルは「DUO」っていう卓球サークルです。

島守:いきなりですが、好きは本は?

はる:いっぱいあるよ!ホラー系もあるし、ラブストーリー系もあるし、ミステリー系もあるし……。あと、最近読んでいるのは『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』っていうシリーズものなんだけど、ドラマ化もアニメ化もされてるの。通勤時間中に読むんだけど、聞いていると気分が悪くなるような内容が出てきて、喧嘩とか人間の汚い部分とかね、だから朝からすごい気分が沈んじゃうんですよ。これから仕事って時に気分が落ちるのが悩み(笑)。

現在のお仕事について~「プログラミング楽しいじゃん!」

島守:現在は、どのようなお仕事をされていますか?

はる:エンジニアをしていて、システムを作っています。

島守:そのシステムとは、他の分野・業界に使えるサービスとか?

はる:業界とかはあんま分からないけど、色んな会社で使えるようなシステムを作っています。

島守:プログラミングとか、それとも営業?

はる:私はまだ研修を受けているんで、お客さんのための商品に手を出すことはないけど、それを作るための便利ツールを作っていて。だから仕事の話は全然できない(笑)。

島守:なるへそ。

はる:でもまあ、プログラミング的なことをしています。

島守:わー日本史専攻とは全然結びつかないように思えます。因みに、その業界・会社を志望した理由とかきっかけは?

はる:きっかけは就活のエージェントさんが紹介してくれた中の一つで、いちばん最初の面接がその会社だったから。いちばん最初の一次面接、いちばん最初の二次面接、いちばん最初の最終面接。だから縁があるみたいな?やっと面接までこぎつけた会社は何個かあったけど、いちばん最初はこの会社だったから。

この会社に縁があったのもそうなんだけど、考えてみたら、最初からIT系しかみてなかったや。ITしかできないかなって思ってた。きっかけはゲーム!私ゲームが好きで、オンラインゲームってすごい色んな人と出会えるの。オンラインゲームのコミュニティーに入って、友達の仲いい人が運営さんだったから、「私も運営やるよ」って言って、そのでっかいグループの運営になったの。

最初はめっちゃやる気出してやってたけど、でもオンラインになる人が限られてきちゃって、基本的には仲良しこよしの運営さんたちだけ。だからその人たちを引き抜いて、私のグループを作ったのです。

島守:わーすごい!何というか、「独立」的なことですね!

はる:私のグループ「はるちゃんと愉快な仲間たち」っていう名前のDiscordをつくって。形ばかりの運営だから何もやっていないんだけど、ただみんなで一緒にゲームして、会話もゲームの話をするだけだし。

で、そのグループの中の2人からプログラミングを教わったの。1人がエンジニアさんで、もう1人が当時工学部2年生でプログラミングを勉強していた人。プログラミングに触ってみて、「プログラミング楽しいじゃん!」と思ったんです。だからお2人にはとても感謝してます。

島守:じゃもう、大学在学時から幾分かはプログラミングやITにつながりがあって……。

はる:つながりがあって、ちょこっとだけプログラミングを触って、楽しいな、できるかもしれないな、と思ってITに絞りました。とにかく人の縁に恵まれたと思います。

役立っている大学での学び~重すぎるゼミの課題から得たもの

島守:なるほど。じゃあ役立っている大学での学びについて、聞きたいと思います。

はる:もともと日本史にそんな詳しいわけでもなくて、ただ高校時代の日本史の先生がめっちゃいい人だったから日本史に来たんです。役立っていること、何だろうな、文面にはできないようなあんまりよろしくない言葉を使うと……。

島守:まあ編集で何とかします(編集者註:もちろん、そのまま使います)……。

はる:重すぎる課題に耐えて、ちょっとメンタル強くなったかな。昨日、片桐先生から「あなたは大丈夫だよ」ってお墨付きを頂いて、超嬉しかった。あれができたから、卒論書けたねって言ってもらえたし、私もそう思ってる。

あれっていうのはね、3年生の後期のアホみたいな量の課題のこと。Word40枚だよ!?「もう終わんないよ~」って言って毎日泣きながらやってたのね。やらなかったらちゃんとお叱りを受けるから。次の週の発表には間に合わせて作らなきゃいけないんだけど、その資料作りがすごくしんどくて。一時期、教授嫌い!ってなって結構病んでたんだけど、終わったら「はあ解放!」みたいな。卒論に集中させてくれる教授だったから、そのために3年生のときにあんな大変だったんだと思います。

島守:精神的なところで得たものがあるんですね。

はる:日本史っていう学問の研究対象で何か役立つことよりか、大学の研究を通して得た一番のものはメンタルの強さ(笑)。他には、アカデミックな思考が身についちゃったこととかかな。「それって、ちゃんとどこかの大学が研究しているの?」ってすぐ思うようになっちゃった。スピーチをしてください、って研修があったんだけど、どこまで詳しく言えばいいんだろう、参考文献を示さなきゃいけないのかな、みたいな研究脳になっちゃって。良いところなのか悪いところなのか。

日本史に絞って得られたものは…同じ日本史の人と話すとき、日本史専攻以外の人だと伝わらないような会話ができることかな。それでめちゃくちゃ爆笑できたりするの!

大学時代の思い出~コミュニティーを創る

島守:次に、大学時代の思い出を……。

はる:思い出?いっぱいあるよー!!

島守:例えば、さっき卒論の話もありましたけど、卒論やゼミとかの、他の同級生との思い出とかありますか?

はる:いっぱいあるよ!友達がいっぱいできたの。まず、ゼミの課題がすごくしんどかったことで、ゼミの同期の団結力もすごい強くなった。追い込まれているときってさ、仲間探しがちじゃない?「あんた、やばいでしょ」「うちもやばいんだよ」「お前なんかもっと先じゃん」みたいな。協力しないと終わらないのよね。だからゼミのおかげでできたコミュニティーだね。今だってこうやって、会いに来れてるし。

卒論も同じ感じ。人文学部って卒論はだいたい2万字書かなきゃいけなくて。11月12月ぐらいから、みんな顔死ぬわけよ。分野の違う研究室に「調子どーですか??」「やばいっすよね」って言いながら入って行ったら、色んな研究室にいっぱい友達ができたの。すごくうれしかった。使える研究室が増えたし、精神的な居場所も増えたし、頼れる友達もいっぱいできたの。行く先々でお菓子貰えるし(笑)。居場所ができたことが思い出かな?日本史に関しては特に「だいみょん」(編集者註:「人プロ」メンバーの田中(M1))に、めっちゃ聞いてた。本当にお世話になりました。

島守:常に人と関わり合うことを求めている感じですか?

はる:なんかね、半々なんだよね。私すごいめんどくさい性格で、一人になりたいけど一人じゃ寂しいみたいな。でも研究室に来たら誰かいてくれるっていう環境があるじゃん。だから、一人になりたいときは学校ぶらぶらして、寂しくなったら研究室に行って、「終わんないんだけど」って文句言いながら、レポートとか卒論書いたのが楽しい思い出。

島守:サークル、部活については?

はる:そこまでサークルの活動自体に行って参加しているわけではなくて、飲み会の参加が多かったかな。そんなお酒飲めるわけではないけどね。飲み会って、何人か潰れちゃったりするじゃん。だから、私は平和に飲みたくて、サークルで「平和飲み」を作ったの。みんなで平和にお酒飲みながら、麻雀とかカラオケする会を作ったんだ。

サークル自体にいっぱい参加しているわけではなかったから、後輩からもあまり慕われていないだろうなって思ってたんだけど、全然慕ってくれる後輩がいっぱいいて。卒コンのときに貰った賞状に、「平和飲みでコミュニティづくりに尽力しました」って書いてもらえたの!それ読んで、うるうるしちゃって、ひたすらにうれしかった!

そうそう、後輩が東京まで会いに来てくれたの!私はちょうどその日予定入ってたから、「新宿から池袋までの電車の中でしか会えないけどいい?」って言ったんだけど、「いいよ、行くよ!」って来てくれて!その時、「平和飲みちゃんと続いてるよ」って言ってもらえたの。そんな後輩がいてくれて本っっ当に幸せだなって思いました。

島守:なんか、コミュニティーが続いていて、素敵ですね。

はる:こうやって新潟にふらっと来た時に、「飲もうよ」といってくれる後輩とか友達がいてくれるのはとっても嬉しい。

島守:なるほど、結構、大学生活が充実しているように見えるんですけど……。

はる:…と、思うじゃん。なんだかんだ、めっちゃ病んでた。諸々プライベートでも色々病んでたし、病みまくりだったよ。でもインタビューは良く見られたいじゃん。Instagramと同じよ。インスタって楽しいところしか載せないし見えないし。

なんか、個人的な話するとね、私は人を誘えない性格なの。LINEも苦手だし。文面書いて送るときに、「どうしよう、こんな内容送って、あの人に私に使う時間を作らせたら迷惑かな」とか考えて、結局送れなかったりして。

島守:そうそうそうそう、わかります……。

はる:友達を誘うのと計画を立てるのがすごい苦手なの。言い出しっぺはできるんだ。「あそこに行きたい」とか、「これやってみたい」とか。私がそうやって言い出した時に、「じゃあ計画を立てよう」「車を出そう」って、それを実行するために動いてくれる人たちがたくさんいる環境やコミュニティーに出会えて、とても感謝しています。

大学生活を振り返って~〇〇をやってみたかった!

島守:もし今から、大学生に戻るとしたら、何をしたい?

はる:もっとサークル入りたかった!楽器やりたかった。1年目のとき、コロナ禍だったから、どんなサークルあるか分からんかったし。友達いないし、外出れないし。だからもっとコミュニティーを広げたり、やったことないことに挑戦したり……なんかすごい偉そうなこと言ってるけどね、もっと挑戦すればよかったなって思う。

島守:なるほど、因みに、今の話に戻るんだけど、今の生活はどうですか?大学生活と比べて。

はる:忙しいよ。そりゃ月から金まで仕事だから。土日休みなんだけど、日曜日は仕事のお弁当の作り置きとかで1日潰れちゃうし、今のところ土曜日しか自由時間ない。けど予定は入るから、遊びに行かなきゃ。遊ぶの大好きだし楽しいんだけど、自分の時間があんま取れない。だからゲームもあんまできてないな。

逆に大学の時は時間がありすぎて、暇を持て余していて、だから病んでた。もっとアクティブにすればいいんだけど、一人じゃ何もできなかったから。まあ病む時間が少なくなったという意味では、今の方が気楽ではあるけど、三連休しか1日中ゲームできる日がないから、それはちょっと寂しいかな。

島守:(この時期は履修登録期間なので、)おすすめ科目はありますか?

はる:取ったことないけど、取っておきたかったなってのは、「日本酒学」かな。他の大学ないんだよね。日本酒好きな人ってどこにでもいるじゃん。新潟ってめっちゃ話題出るんだよ。「新潟の日本酒いいよね」とか、飲み比べできるところ(ぽんしゅ館)の話とかしていて。私はあんま飲めないし詳しくもないから話に入れない。だから社会人の知識として履修しておくといいかも。とっとけばよかったなあ!日本酒学。

島守:結構人気なんですよね。

はる:抽選落ちた気がする。あと、片桐先生の授業おすすめだよ!古文書実習もおすすめです。わいわいできるから!

峰岸純夫・片桐昭彦『戦国武将合戦事典』(吉川弘文館・2005)とともに。総合教育研究棟A4階の日本史研究室にて。

今後の展望~楽しく生きたい!

島守:今後やってみたいことはありますか?

はる:今後やってみたいこと?うーん、ボーナスが入ったらとか考えるけど、何を買うか迷っているんだよね。逆に何がしたい?

島守:自分は……海外行ってみたい。

はる:何でぱっと出てくるんだよ!行ったことない?

島守:あります(笑)。オーストラリアに。でもヨーロッパに行ってみたい。イギリスとかフランスとか。何をするという目的はないんですけど。

はる:あるんかい(笑)。とりあえず、まあ楽しく生きたい!

島守:最後に何かコメントあれば、どうぞ!

はる:同期に後輩に先輩に、今までかかわった人みんなに、片桐先生に、幸あらんことを!


はるさんとお話しして、中島みゆきさんの「時代」を思い出しました:

そんな時代もあったねと  いつか話せる日が来るわ
あんな時代もあったねと  きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで  今日の風に吹かれましょう

中島みゆき「時代」(1975)

対談を終えて、私自身の大学生活を改めて考える機会になったと思いました。学業に没頭したり、進路や人間関係に病んだり……。それも、研究室仲間や「人プロ」メンバーなどで、集まって話したり、助け合ったりする、今のコミュニティー・環境があってこそだと強く感じます。はるさん、とても充実した時間をありがとうございました。

◎インタビュイー:はる (えでぃ) さん
2024年3月に新潟大学人文学部を卒業。専門は日本中世史。
◎インタビュアー:島守 快聡 / Eddie H SHIMAMORI
新潟大学人文学部在籍。専門は言語学(英語統語論)。「人プロ」コーディネーター。

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