英語学の島守(Eddie)です。新潟大学には国際交流が積極的に行われており、外国へ留学する人も、外国から留学に来る人もいます。この「Transcultural Encounter」という授業ではそれぞれの言語を使いながら、バックグラウンドの垣根をこえた学生同士で交流・学修することができ、面白いと思います。この新潟大学人文学部の特有な科目を紹介します。
記事の目次
2023年度「Introduction to Transcultural Encounter B」について
この「Transcultural Encounter」という科目群は2023年度に新設されました。本年度の発展講義「Transcultural Encounter B」および基礎講義「Introduction to Transcultural Encounter B」の主題はフランスのナント(Nantes)からの交換留学生との共修学習です。
日本人学生は8名、フランス人学生は5名、TA(Teaching Assistants)2名、フランス言語文化分野の教員2名が参加しています。人文学部生を主に、フランス語を1年間学習した2年生以上の学生は履修できます。
この科目の特徴は異文化コミュニケーション力の育成にあると思います。もちろん、外国語を話せるように語学の学習に力を入れることも大事です。実際、本科目ではそれぞれの母語と目標言語を両方用いながら、アクティビティーに取り組みます。
それだけではなく、困難や問題を乗り越えながら、多様な人々と共に何かを共有したり、創り出したりするスキルは、将来グローバルな場面で活用できると思います。複文化コンピーテンス(Transcultural Competence)、異文化感受性(Transcultural Awareness)、グローバル・リーダーシップ(Leadership in global society)を体験するのに最適な環境です。
学生によるプレゼンテーションの様子
この科目の活動のメインは学生によるプレゼンテーションです。自分のよく知る街について紹介したり、文化、イベント、伝統行事や、若者たちの生活などを説明したりします。映像や画像、音声なども利用しながら、日本とフランスの相違などについても話し合います。
このプレゼンテーションを通して、フランス語で話したり聞いたりする練習になりました。またフランスの文化や生活習慣をその人の体験をもとに知ることができるのでよりイメージが明確になります。
そして、自分自身のこと・自分の地域や国のことについて再認識することも異文化コミュニケーションにおいて重要になると思いました。留学した時もそうですが、身近なことについて実はあまり理解していないことに気づかされます。自分で説明し、考えを持つという意識が必要だと強く感じます。
学生の発表のテーマは以下の通りです。
- 日本:映画・漫画・神社・日本酒・弓道・ことわざ・鍋料理・山形・長岡花火・香水・仙台・正月料理・成人式
- フランス:ナント・メタルロック・パーティー・ワイン・彫刻芸術・エッフェル塔・フランス語の表現
次年度開講「フランス語圏グローバル理解」に向けた教材作成
もう一つの活動は、来年度から開講される「(仮称)フランス語圏グローバル理解」という全学向けの科目で扱うビデオ教材を作成しました。2023年度までの「ベーシック・フランス語」が改められ、計8回の講義の中で、フランス文化やフランコフォニーについて理解を広げることを目的にします。
人文学部の学生だけでなく、新潟大学の学生が、よりフランス語圏の文化や生活に関心をもてるよう、フランスからの留学生にインタビューをし、これをいくつかのショート・ビデオにします。
テーマやインタビューする質問事項を受講生全員で検討し、実際にフランス語で質問・応答のやり取りをしました。日本語とフランス語を使用しながら、準備とリハーサルを行いました。今後の更なる語学の向上のモティベーションにもつながります。
動画では次の内容をテーマにいくつか質問し、フランス人に回答してもらいました。
- フランスの食文化・料理
- フランスのスポーツ
- フランスの観光地・レジャー
- 日本とナントの違い、日本での生活
将来にフランスないしフランス語圏留学を考えている日本人学生、日本留学において日本語話者との交流機会を増やしたいと考えている留学生、あるいは異文化との交流機会をもちたいと考えている学生は、この「Transcultural Encounter」科目の履修を勧めます。
補足説明
新潟大学ではナント大学(Nantes Université)と交流協定を結んでいます。また2023年11月に人文学部ではリヨン第3大学(Université Jean Moulin Lyon 3)と協定を結びました。詳細はこちら(新潟大学人文学部HP)。