「新しい言語の習得を通して新たな自分を発見」~干野真一先生にインタビュー!

メディア・表現文化学4年の松岡、2年の野崎、日本・アジア言語文化学3年の有賀です。「新任教員インタビュー」として、中国語学を専門にする干野真一先生にお話を伺いました。

中国語の面白さ、そして初修外国語を学ぶことの意義を語って下さった干野先生。取材では、日本ではあまり見かけない、円形に固められたプーアル茶である「茶餅」を見せて頂くなど、中国文化についても触れることができました。

(▲写真:見せていただいたプーアル茶の「茶餅」。私たちがよく見かける茶葉は、これを削ったものだそうです。)
  • 日時:2016 年 5 月 31 日(火)10 時 15 分~10 時 45 分
  • 場所:総合教育研究棟A 棟 5 階 干野研究室
  • インタビュアー:松岡(メディア・表現文化学 4 年)、高井(メディア・表現文化学 2 年)、野崎(心理・人間学プログラム 2 年)、有賀(日本・アジア言語文化学 3 年)
  • インタビュイー:干野真一先生(日本・アジア言語文化学准教授)

干野先生の研究内容について

学生:本日は宜しくお願いいたします。はじめに、先生の研究内容を教えて下さい。

干野:以前は教育・学生支援機構に勤めていて、新潟大学は 9 年目になります。私の専門は一言で言うと、中国語の話し言葉である「白話」の歴史的な研究です。中国語には「文言」という漢文のような書面語の文体と、「白話」という口語体があります。この「白話」の記録が残っている最も古いものが唐の終わり頃の資料なんです。

このような歴史的に長いスパンの「白話」すなわち話し言葉を研究しているのですが、とりわけ元、明、清のあたりの中国語の変遷を主に調べてきました。その中でも、現在前置詞の変化にもっとも目を付けているところです。

学生:先生が中国語に興味を持ち始めたきっかけはなんですか?

干野:私がはじめ中国語に興味を持ったのは、高校生の時だったのですが、当時中国語ブームという時代の流れの影響もあって、英語をやって、それで中国語もやれば、世界中の人とコミュニケーションがとれるんじゃないかという単純な発想からでした。大学選びも中国語をしっかり学べる大学というのが大前提でした。

いま考えると、高 2 のときに旅した返還前の香港の、ものすごくパワーに溢れた雰囲気も、やっぱり進路を考えるときに影響したのかも知れません。

そして本格的に中国語のプロになりたいと思ったきっかけはやはり学部生の時に経験した北京留学です。中国の言葉と文化の魅力にますます惹きつけられ、大学院に進学をすることを決めました。

(▲写真:干野真一先生)

干野先生のご経歴について

学生:先生のご経歴について教えてください。

干野:生まれは兵庫県ですが、小学生の頃に奈良県に引っ越しました。神戸外大の中国語学科で大学院を含め 10 年ほど勉強していました。卒業後に新潟大学に就職し、現在に至ります。

講義内容について

学生:次に講義内容についてお聞きしていきます。先生は現在、どのような講義をおこなっていますか?

干野:中国語の初級レベルや中級レベル、さらには中国語の論文を読む講義などがあります。初級では「中国語インテンシブ」という科目を週に2回担当しています。インテンシブの受講生は人文学部生が多いのですが、他にも、「中国語オプショナル」といって第三、第四の外国語として中国語を勉強したい方向けの入門レベルの講義では、学部や学年を問わず、多くの学生さんが受講しています。

また、「アジア言語文化研究法」や「中国言語文化論」といった H コードの講義も担当しています。そこでは、中国語の文法のおさらいをしたり、中国語を言語学の対象とした論文を読んだりします。ゼミでは、現在、明の時代の白話小説を読んでおり、『今古奇観』という短編小説集をテキストに使っています。

干野先生の学生時代について

学生:それでは最後に先生の学生時代についてお聞きしたいのですが、何か印象に残っていることなどはありますか?

干野:中学、高校とハンドボール部に所属していました。高校ではインターハイに出場したこともあります。大学時代は、電車で片道約 2 時間の通学時間が一番記憶に残ります。

8:30 からの講義に間に合うように、朝 5:00 に起きて通学するようなこともありましたが、本を読んだり、音楽を聴いたり、考え事をしたり、と現実からもう一つの世界へと移動する為の、いわば「不思議の国のアリス」に登場する洞窟を通るような気分でした。

学生:ちなみに大学生活を送ってきた人生の先輩として新潟大学生に伝えたいことはありますか?

干野:「こんなもんかな」という限界を自分で決めてしまわずに、自分のやりたいことに、どっぷりつかってみるべきだと思います。どんどん新しい自分を発見して次の可能性を広げていくことが大切なんじゃないでしょうか。

外国語を教えている立場ではなく、皆さんと同じように学んできた立場で考えると、初修外国語を学ぶ醍醐味は「通じ合えたときのよろこび」だと思うんです。新しい言語の習得を通して新たな自分を発見し、どんどん世界とつながっていって欲しいなと思います。

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