「文学は、人間の創造的活動の原点」~長沼光彦先生にインタビュー!

日本アジア言語文化学3年の安田、村井です。「新任教員インタビュー」として、日本近現代文学を専門にする長沼光彦先生にお話を伺いました。

長沼先生の研究室は沢山の本があり、「本を読むのが好き」ということが伺えました。私たちが普段何気なく触れている文学は人間の原点であるということが印象的であり、今後の小説や詩の読み方が変わるような興味深い話を聞くことができました。

  • 日時:2019 年 7 月 3 日(水)
  • インタビュアー:安田(日本アジア言語文化学3年)、村井(日本アジア言語文化学 2年)
  • インタビュイー:長沼光彦(日本アジア言語文化学プログラム教授)

研究内容について

学生:まず、先生の研究内容についてお伺いしたいのですが、先生はどのような研究をされていますか。

長沼先生(以下長沼):日本の近代・現代の文学を研究しています。例えば、皆さんが知っている作家で夏目漱石や谷崎潤一郎がいますね。その小説とか、萩原朔太郎や中原中也の詩の研究をしています。

学生:なぜそのような研究をしようと思ったのですか。

長沼:子供のころから本を読むのが好きで、小説とか詩とか創作物に興味があり、その出来上がる過程を知りたいと思ったからです。今はことばによって表現されたものが読者にどのような影響を与えるかとか、その文学を生み出した同時代の特徴などを考えていくのが今の研究になっています。子供のころの気持ちをきっかけにしています。

学生:具体的にどのような方法で研究をされていますか。

長沼:まずは文章表現の特徴を掴みます。小説だとなんとなく読める気がすると思いますが、詩は難しく感じるかもしれません。それは、小説の方は、物語を読み取る決まりをみんなが 知っていて、自分で実践できているからです。一方、詩は読み方、味わい方というのがよく わからないので、読めないと思ってしまうのです。

研究方法の一つは、そういう読み方のヒ ントとなる作者や詩人の発想や工夫の仕方を、作者や詩人の残したことばから考えていくものです。また、もう一つは、時代ごとに作品には特徴があり、その特徴の共通点と、特徴 を生み出した文化的背景を調べるものです。

今期の授業について

学生:先生が担当している授業はどのような内容ですか。

長沼:前期は「日本文学概説C」という授業を開講しています。そこでは、坂口安吾の「文 学のふるさと」というテキストを取り上げて、昭和の初め頃の文学に対する考え方について、皆さんに紹介しています。後期は「日本近代文学論 B」という講義をします。そちらでは夏 目漱石の「三四郎」を読んで、先ほど紹介した、作品を生み出したその時代の特徴を紹介し ます。

高校生やその学問分野を目指す人に向けて

学生:ありがとうございます。では、最後に高校生やその学問分野を目指す人にメッセージをお願いします。

長沼:文学は「ことば」で書かれています。「ことば」は人間の文化の一番基礎的な要素です。人間は「ことば」を獲得してはじめて、物事や出来事について考えることができるようになりました。その「ことば」を用いて表現された文学は、人間の創造的活動の原点であり、人間の多様で豊かな発想が反映されています。ですから、人間の一番基本的なことを勉強したいのならば、文学研究を志しても良いのではないかと思います。

学生:ありがとうございました。以上でインタビューは終わりです。ご協力ありがとうございました。

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