幸福の基準がやさしくなりました~ドイツ・ビーレフェルト大学留学体験記

人間学プログラム(哲学分野)2年の斎藤知果です。私は、2023年の8月にビーレフェルト大学のサマーコースに参加しました。今回の留学での経験を知っていただき、皆さんの参考にしていただければ幸いです。

ビーレフェルト大学サマーコースについて

  • 期間:2023年8月7日~31日
  • 場所:ビーレフェルト大学Universität Bielefeld
  • 参加人数:4名(人文学部2名、農学部2名)

留学することを決めた理由

そもそもなぜドイツなのか。私の場合、母の影響が大きかったように感じます。母は若い頃ドイツに1年間農業研修に行っており、時々聞かされる思い出話などから、私は漠然と子供の頃からドイツという国へ興味を持っていました。

漠然としたドイツへの憧れから、私は1年次に初修外国語としてドイツ語インテンシブを受講しました。一年間の授業を通して、ドイツへの興味は更にふくらみました。2年次に進級するにあたり、私は主専攻として哲学を選択しました。ドイツ語の文献を理解できるようになれば、哲学への学びが深められる、もっとドイツ語やドイツ文化について理解を深めたい!と思っていた中、今回のサマーコースが開催されることを知りました。コロナ禍が明けて再開された今がチャンス!と思い参加を決めるに至りました。

サマーコースでの様子

今回のサマーコースには、トルコ、スペイン、中国、フランス、イタリア、韓国など世界各国から、学生、社会人を含めた約100名が参加していました。クラスは個々のドイツ語のレベルに応じて、A2クラス、B1クラス、B2・C1クラスの大きく3つに分けられました。この中で私はA2クラスを受講しました。それぞれのクラスについて大まかに説明すると、A2クラスが最も初級のクラスで、ドイツ語の文法事項を扱い、次のB1クラスはドイツ語を用いたコミュニケーションを中心に扱っていました。最も上級のB2・C1クラスは、政治・法律・科学などテーマごとにいくつかのグループに分かれ、ポスター発表やプレゼンテーションを行いました。

ここから、私が所属したA2クラスの様子を詳しく述べたいと思います。人数は13人程で、内訳は、日本人が新潟大学の学生3人、中国の方が7人、イタリアの方が2人、フランスの方が1人となっていました。クラスメイト達とのコミュニケーションは、ドイツ語と英語で行っていました。

授業は基本的にドイツ語で進められ、学生の理解度に応じて英語での説明もなされました。

私が最も印象深かったのは、名詞の格変化などの文法事項をドイツ語で教わったことです。内容自体は新潟大学での授業で扱っていたので理解できるのですが、文法用語がドイツ語だったり、日本語での説明とは順番が違ったりすることに最初は戸惑いました。授業を通して、それまでは、変化の規則や表に対応させて記号的に作文するようなイメージだったのが、より言葉のニュアンスを意識する感覚が得られたように感じます。

▲大学の建物内の様子
広くて最初は迷子になりました。

放課後には、ピクニックや食事会などが開催され、他の学生と交流することができました。皆でビールを飲みながら、互いの国や文化の話をするのはとても刺激的で楽しかったです。

また、週末にはExkursion(遠足)が企画されており、行き先はボン・カッセル・エッセン・ミュンスターの4都市から2つ選ぶことができました。私はボンとカッセルを選択しました。ボンでもカッセルでも、博物館でガイドさんの説明を聞いたのですが、私自身の歴史や芸術分野の語彙が少なく、理解が追い付きませんでした。展示物が充実していたので楽しめましたが、もっと勉強しようと強く思いました。

▲ボンで食べたスパゲッティアイス
ソースは苺で、食べごたえがありました。

ビーレフェルトでの暮らし

ビーレフェルトはドイツの北西に位置し、緯度は北海道より高いです。季節は夏でしたが、例年より涼しい年だったらしく、半袖では肌寒い日もありました。

滞在方法は、ホームステイか寮、もしくは自分で家を手配するかのいずれかで、私はホームステイを選択しました。私がホームステイしたのは年配のご夫妻が二人で住むお宅でした。同じくサマーコースに参加しているブルガリア出身の学生もルームメイトとして一緒に滞在しました。彼女はドイツ語も英語も堪能で、クラスは上級のB2・C1に所属していました。とてもフレンドリーで、事あるごとに気にかけてくれたので、彼女がルームメイトでとても心強かったです。

家から学校までは、電車とバスで通っていました。ドイツの交通機関はよく遅れると聞いていたので少々不安でしたが、街中を移動する分にはそれほど支障なく使えました。しかし、他都市への長距離の移動となると、電車が遅れたり来なかったり、急に路線が変わったりするのは日常茶飯でした。情報をまめに確認したり、人の流れを感じ取ったり、プランを複数考えておいたりと、五感と脳をフルに使って、努めておおらかな気持ちでいられるよう心掛けました。おかげで「無事たどり着けてラッキー」と、幸福の基準がやさしくなりました。

▲カッセルのヴィルヘルムスーエでの一枚
カッセルに行った際も手配していたバスが来ず、延期になるトラブルがありました。結果的に行けたので良かったです。

留学を通して学んだこと

今回、4週間の留学で、学習へのモチベーションは大きく得られたと思います。同年代の参加者たちが多言語を使いこなす様子を見たり、授業や会話の中で積極的に他者と関わったり学ぼうとする姿勢は、刺激的で見習いたいと感じることが多かったです。

また、様々な状況で人と関わる中で、言葉はあくまでツールのひとつであって、その先にあるのは人間同士の関わりなのだなと感じました。表情、しぐさ、声のトーンなど、言葉以外の要素から得られるものも意外と多いのだと気づくことができ、コミュニケーションにおいては互いに「伝えよう」「理解しよう」とする気持ちが重要なのだと思いました。

ただその中で、相手をもっと知りたい、もっと関わってみたいと思ったとき、有用なのは言葉であり、やはり語学を身につけた方が得られるものも大きく、可能性も広がるのだと実感しました。

今回ドイツに行けたことは、大学での学びに限らず、今後の人生においても大きな経験になったと感じます。この経験をこれからどう繋げていくか考えながら、今後も進んでいきたいです。

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