こんにちは。言語文化学プログラム3年の西潟です。今回の「ゼミ訪問」では、言語文化学プログラムドイツ言語文化分野で、現代ドイツの文化を主題の中心としているAnja Hopf(アンニャ・ホップ)先生のゼミを紹介します。
ホップ先生にインタビューした記事(「ドイツ語は意味を細かく表現できる」~Anja Hopf先生にインタビュー!)もありますので、ぜひこちらもご覧ください。
ホップ先生のゼミでは
ホップ先生のゼミは学生の意見をもとにゼミのテーマが決まります。そのため学生の興味に非常に沿ったゼミです。今年度は映画をテーマに、昨年度は日常生活で使う「もの」をテーマにしたゼミでした。

ゼミの大きな流れとしては、学期の初めにゼミのテーマに関するドイツ語の文章を読んでテーマについて学び、その後テーマに沿った作品を鑑賞して各自の解釈の元で発表、という形になります。
ホップ先生はCLILという学習方法をベースに、ゼミのテーマについてできる限りドイツ語で学ぶという方法を取っています。
*CLILとは「教科科目やテーマの内容(content)の学習と外国語(language)の学習を組み合わせた学習(指導)の総称」とされています。
実験映画の解釈とドイツの映画について
今学期(2024年2学期)のゼミでは実験映画について取り扱い、解釈を行うというものでした。
実験映画とは、既存の映画の枠組みから大きく外れたような映画のことを指します。例えば、抽象的な図形を音楽にあわせて動かしている映画などがあげられます。扱う映画はドイツの作品が中心ですが、マルセル・デュシャンの作品など他国の作品を扱うこともあります。
この日はベルリン映画祭について、ドイツ語の文章を読むというものでした。各自で時間内に文章の訳を行い、与えられた質問に答えながら文章の内容を全員で共有していきます。

ドイツ語を読むことに不安がある人もいるかもしれませんが、ホップ先生のゼミではドイツ語の文章を読む際、二、三人のグループに分かれ協力して文章を訳します。
受講していた学生からもこのようなコメントをいただきました。
ドイツ語の学習を続けようかなと考えている1・2年生のみなさん、ホップ先生のゼミに参加してみませんか?ドイツ語に自信がないと参加できないのではないか、と考える方もいるかもしれません。ですが、そんなことはありません!ホップ先生が優しく教えてくださいますし、学生同士で協力して翻訳することも多いので安心です。ぴったりな日本語を考えるのもまた面白いと私は思います。
人プロブログでは短期、長期ともにドイツ留学記が掲載されています。様々な学生が、それぞれの視点で、思い出を語っています。とっても濃い内容になっていますので、ぜひ一度ご覧ください!
ドイツ留学記は、ドイツ言語文化学のタグから一覧を見ることができます。
ホップ先生のゼミは、少人数で非常に和気あいあいとしたゼミです。受講を迷われている方はぜひ挑戦してみてください。
この授業に参加するための条件をホップ先生にお聞きしたところ次の4つを上げてくださいました。
- CEFRのドイツ語レベルA2/B1 (独検3級・2級に相当)
- ドイツ語文化圏の文化(テキスト、アート、芸術全般、音楽など)に幅ひろく興味があること
- 発言(コメント、質問)を恐れないこと
- 自立学習ができること
ドイツ語レベルはインテンシブの授業を一年受講すると独検3級程度になります。そのため一年次にインテンシブを受講し、その後もドイツ語の勉強を自主的に続けている人であれば十分受講レベルに達することができます。
担当のAnja Hopf先生より
「アカデミックの要素もあるのですが、それらを怖がらずに気軽に自信を持って受講して欲しいです。とにかく積極的に参加すれば、また好奇心さえあれば参加は可能です。」
受講者に聞いてみました
➤ このゼミを選択したのはなぜですか?
- ホップ先生の授業に参加したかったから。また、ドイツ語に触れる機会を作りたかったから
- ドイツ語学習を継続したかったので
- 初修外国語のドイツ語を続けたかったため。また芸術に興味があったため
ドイツ語学習を継続したいという人が多いようです。しかし、ただドイツ語を学ぶだけでなく、芸術作品やテクストを通じてドイツ語の学習ができ、ドイツに関して幅広く理解が深まります。
➤ このゼミでどのようなことを学んでいますか?学習の取り組み方や困難な点、雰囲気などをお聞かせください。
- 先生が用意してくださった映像や映画を全員で見て感想を共有したり、テーマに沿った短い動画を各自で調べて考察を発表したりしています。少人数で個人的には顔なじみの学生も多く、楽しく気軽に話すことができるのがいいところだと思います。
- ドイツ語の映画を観て、その解釈やドイツの社会的背景について学んでいます。異なる文化圏の映画についての文化や表現技法などを多角的に考えることは難しいですが、そこが面白さであるとも思います。
- 今学期は映画について。今まで映画にあまり興味がなかったが、もっと映画をみるようになった。雰囲気がとてもよく、リラックスして受講できる。
異なる文化圏の作品理解はやはり難しい部分もあります。ですが、感想の共有などを通して多角的理解へとつながっていきます。何人かがゼミの雰囲気がいいと書いてくださっていますが、この雰囲気の良さが積極的な発言につながるのかもしれません。
➤ 今後はどのようなことを学んでいきたいですか?卒論や将来の展望などについてお聞かせください。
- 今後も、この授業で出会った作品や映像を再度見たり、積極的に芸術に触れていったりしたいと思います。
- 卒論ではドイツ現代美術の作家を扱いました。きっかけはこのゼミだったと思います。抽象的な概念やドイツ語単語の解釈について徹底的に考える思考力が身に付いたことは将来にも活かせるのではないかと思います。あとは単純に海外の美術作品を見るのがとても楽しくなります
- 映画をもっと見たい。美術館やギャラリーにもっと行きたい。
ゼミでさまざまな作品に触れたことで、卒論のテーマが決まったり芸術作品への興味が深まったりした人が多いようです。なかなか自分一人では見つけられないような芸術家の作品も扱ったりするので、興味の幅を広げるにはぴったりのゼミだと思います。
参考文献
日本CLIL教育学会「CLILとは」(https://www.j-clil.com/clil)最終閲覧日2025年2月26日