現代社会文化研究科(大学院)の佐々木さんにインタビュー
~大学院生の 1 日~

今回は現代社会文化研究科(いわゆる大学院)に在籍している佐々木健人さん(修士 1 年)に 1 日の過ごし方について聞いてみました。実は佐々木さんと私(熊谷)はゼミの先輩後輩にあたる関係で、普段から論文指導などお世話になっています。佐々木さんの勉強時間や授業内容、帰宅してからの過ごし方などを 1 問 1 答形式で聞いてみました。


──それでは、簡単な自己紹介をお願いします。

佐々木さん:現社研の修士課程 1 年の佐々木健人です。出身は秋田県です。人文学部の人間学科に所属していて、そこから大学院に進学しました。部活は吹奏楽部でした。

──研究内容について教えてください。

佐々木さん:すごく大まかにいうと心について学んでいて、その中のとりわけ意識について勉強しています。心にまつわる哲学的問題や脳に注目した研究──そこからどのような帰結が導かれるのか──などに興味があります。あと最近は動物の意識問題についても興味があり、修士論文はその方向で書きたいと思っています。

──動物に心はあるのか?ということですか?

佐々木さん:例えば、動物は痛みを感じるのか?感じると言っても人間と同じような感じ方なのか?という認知的な問題を調べています。

──では、ここからは佐々木さんの 1 日についてお伺いします。朝は何時に起きるのですか?

佐々木さん:朝はまばらですけど、7 時から 8 時の間に起床します。前の日が飲み会だったら 9 時まで寝てるんですけど(笑)。そこから朝ご飯を食べて、家でゆっくりコーヒーを飲んでから大学へ向かいます。その日の授業によっては大学で飲んだりもします。

人間学資料室(総合教育研究棟 5 階)でコーヒーを淹れる佐々木さん

──授業は週に何コマありますか?

佐々木さん:1 日に 1~2 コマはあります。授業以外の空き時間は予習復習をしたり、または自分の研究に関する資料を読んだりしています。

──お昼ご飯はどうしていますか?

佐々木さん:作るか買うか、半々ですね。時期にもよるのですが。買うとしたら学内ローソンや大学生協で購入していますね。

──家に帰宅するのは何時くらいですか?

佐々木さん:希望としては 6 時くらいまでに帰りたいと思っています。が、実際は 6 時までに帰れるのは週に 1 回か 2 回くらいですね。6 限や 7 限の授業があったり、やることが山積みだったりするとなかなか帰れません。

──帰宅してからはプライベートの時間なのですか?

佐々木さん:家についてからはご飯を食べて、風呂に入って、以前はスマホゲームをよくしていました。寝る前は、読んだ論文に出てきた分からない英単語を頭に入れる時間に充てています。後は、自分の研究には関係ないけど興味のある本を読む時間でもあります。

──ここまでは平日の話でしたが、土日はどのように過ごされていますか?

佐々木さん:人と会う予定が無ければ、土曜日はあまり外出せず読書に耽っています。また、筋トレのためにコスポ(西総合スポーツセンター)に行くこともあります。コスポに行った後に海に行って夕焼けを見ながら思索に耽ることも多いです。 ──哲学的な思索をしているのですか?

佐々木さん:いや、むしろ何も考えないようにボーっとしているというのが近いですね。

平日にそういったことはたくさん考えているので、息抜きが大事です(笑)。

──アルバイトはしていますか?

佐々木さん:派遣のアルバイトに登録はしているのですが、忙しくて出勤はしていない状態です。後期からもう少し授業を減らす予定なので、塾講師のアルバイトを始めたいなと考えています。

──ではここからは人文らしく、好きな本をお願いします。学術書以外で(笑)

佐々木さん:マジで、9 割消えた(笑)

──若干学術書っぽくても OK にします。初心者向けというか

佐々木さん:『僕らが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』ですね。なんだかラノベみたいな長さのタイトルだな(笑)。これは入門的な話が多いし、自分がしている研究の基礎でもあります。入門だから軽視してよいということではなくて、特に哲学では分野を俯瞰するための地図として活用することが多いです。基礎が大事ということですね。

──最後に、佐々木さんのこれからの進路について教えてください。

佐々木さん:まず博士課程に進学したいと思っています。そのための奨学金制度をいろい

ろ見て回っています。研究をしたいというモチベーションが自分の中で高いですね。

──博士課程の生活は、修士課程のそれとは大きく異なるのですか?

佐々木さん:研究の時間はもっと増やすべきだと思います。博士課程の先輩からも話を聞くことはあるのですが、十分な情報量とは言えません。ほかに聞くことが出来る人も多くないので、情報源に困っています。文系だと、誰に何のアドバイスをもらえばよいのか困っている人は少なくないと思います。

──大学の先生に聞くのはどうですか?

佐々木さん:それもよいと思います。しかし、先生方はアカデミックの世界で成功した人であることを念頭に話を聞くべきでしょう。その話をどれだけ真に受けてよいのか悩みどころです。最近だと文系博士系ユーチューバーがいるので、視聴して情報収集をしています。

──以上になります。ありがとうございました。

取材を終えて

文系の大学院進学はいばらの道だと言われていますが、敢然と立ち向かう身近な先輩の姿に改めて尊敬の念を抱きました。また、佐々木さんと同じ分析・英米哲学を専攻している私にとって非常に示唆に富んだインタビューでもありました。

20 歳を超えてくると中学の同級生の結婚・出産の話を聞くようになり、「同級生は家族を持って立派に働いているのになぜ自分は哲学書を読んでいるのか」と悩むことが多い私でしたが、自らの将来について具体的なビジョンを持ち、社会の中での自分の立ち位置をしっかり意識することがその解決のヒントになりそうな気がしました。

◎インタビュイー 佐々木健人(ささきけんと)さん 新潟大学人文学部心理・人間学科を卒業後、同大学院へ進学。現在修士課程 1 年。専攻は分析・英米哲学

◎インタビュアー 熊谷弘毅(くまがいこうき) 新潟大学人文学部心理・人間学科 4 年。専攻は分析・英米哲学、卒論テーマは応用倫理学

この記事のタグ